ブータン料理と聞いて何を思い浮かべますか。

ブータン料理は、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、最大の特徴の一つは、”辛さ”です。

ブータンの代表的な料理”エマダツィ”は、唐辛子(ブータンの言葉で”エマ”、以下同じ)をチーズ(”ダツィ”)で煮込んだ料理です。他のバラエティとしては、キノコを使った”シャモダツィ”、カリフラワーを使ったコピダツィなどがあります。

ブータン料理に欠かせない”唐辛子””は、多く出回る時期はフレッシュ(生)エマ、冬場の品薄になる時期は、旬の時期に大量に日干しして作ったドライ(干し)エマが市場に出回り、年中市場から姿を消すことはありません。フレッシュな唐辛子は、香辛料としてだけではなく、野菜サラダなどの一部として食べることもあります。

唐辛子を使った薬味”エゼ”もブータンでは、欠かせません。”エゼ”と一言で言っても、トマトや玉ねぎ、サラダのようなものや料理、ご飯、モモ(餃子に似た料理)などにつける薬味のようなものがあります。また、このエゼは、材料や作り方など人により、そして地域により様々で、食事の都度、多種多様なエゼに出会うことが出来ます。

また、辛い食べ物が苦手な方には、食事を手配するときに申し出るとマイルドな辛さのブータン料理を提供してくれることもあります。

このほか、ブータンの食事に関して基本情報をご紹介します。

主食:ブータン人の主食は、お米です。市場には、様々な種類のお米が並んでいます。食事としてよく見かけるのは、”赤米”です。日本で一般的に食べられるお米は、ブータンでは、”ジャパン・ライス”と呼ばれています。また、中央ブータンにあるブムタンと呼ばれる地方では、そばが栽培されており、”プタ”と呼ばれる蕎麦製の麺に唐辛子を加えて炒めたものや”クレ”と呼ばれる蕎麦生地を薄く伸ばして薄めのホットケーキのように焼いたものを食べます。

肉類:ブータン料理には、牛肉、豚肉、鶏肉、魚のいずれも使います。干し肉を使うことも一般的です。また、地域によっては、ヤクの肉を使うこともあります。
伝統的なものとしては、豚肉と大根、唐辛子を味付けして煮た”パクシャパ”があります。パクシャとは、豚肉の意味で、他に牛肉を使った”ノシャパ”などがあります。

肉に関する話題として、ブータンでは、肉無しの月や日が、ブータン暦に示され、その月、そして特定の日は、市場、小売店など市中では肉の販売が行われません。肉の販売はありませんが、レストランなどでは、肉のストックがある限り、肉料理は提供されます。

魚類:魚は生魚、干し魚が市場で売られています。肉と同様、野菜と唐辛子で煮込んで食べます。

お茶:ブータンでは、”スジャ”と呼ばれるバターティーが好んで飲まれます。また、”ガジャ”と呼ばれるミルクティーもよく飲まれています。また、冬虫夏草やハーブティー、緑茶、紅茶などのティーバッグを商店で見かけることもあります。

お酒(アルコール):伝統的なお酒は、米や麦、トウモロコシなどを原料として、家庭で作られています。アルコール度数も高く、焼酎のように透明で”アラ”と呼ばれています。また、”シンチャン”と呼ばれる自家製どぶろくのような酒が振舞われることもあります。
また、ブータン国産のウィスキーやビールなども多種類が市中で販売され、レストランなどでも提供さています。

モモ:日本で食べる餃子のような食べ物で、小麦粉で作った皮に、野菜や肉、チーズなどの餡を入れて作ります。ビーフモモ(牛肉を使用)やベジモモ(肉無しで野菜のみを使用)、チーズを使ったチーズモモなどの種類があります。また、蒸したもののほか、レストランによっては、油で揚げたモモや焼いた”モモ”も提供されています。モモそれ自体に唐辛子を使用しているものには出会ったことはありませんが、モモには、唐辛子を原料として作られた薬味”エゼ”を付けて食べるのが一般的です。